スマートウェルネス住宅等推進事業について

1-1 概要

本研究では、既存住宅の省エネルギー化等の住環境改善がもたらす疾病予防、介護予防、虚弱化予防等の効果を明らかにするためのコホート調査の基盤を構築し、今後の最適な住生活空間整備に資する科学的根拠を得ようとするものである。日本全国の医療・住宅関係者の連携体制のもとに展開し、国内では乏しい住生活空間における健康決定要因に関する調査データとエビデンスを収集する。尚、本調査で捉える“省エネルギー化”については、主に断熱化の部分について中心に検討する。

本調査事業は国土交通省の単年度公募により採択されたものあるが、3年間の事業推進を想定して計画立案を行っている。初年度においては、全国700~750軒の改修前(現状)調査を実施し、次年度の改修直後調査に備える。3年間の調査によって、全国1,800軒の住生活空間の省エネルギー化による居住者の健康状況の変化等のデータを収集する。また比較対象として、改修を予定しない住宅の同様データについても、平成26年度には50~100軒、3年間で200軒程度の縦断データに収集していく。

以上のように、本研究においては本年度800軒(3年間で2,000軒)のデータ収集によってエビデンス取得を目指す。しかしながら、3年間であっても疫学的観点からは因果関係を解明したとは言い難いため、10年間の追跡調査までも見据えた長期の計画を策定し、その調査体制と基盤を確立することも本年度事業の目的である。

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1-2 目的

省エネルギー化による効果については、国内外の既往研究で明らかになりつつあるが、医学・疫学の観点から今一度フラットな視点によって、下記について検証する。

  1. 断熱化等の省エネルギー化は、住宅性能を向上する
  2. 断熱化等の省エネルギー化は、居住者の健康に影響を及ぼす

2. については特に、「断熱化に伴う室温低下防止によって、血圧上昇を抑制する」ことについて詳細に検討する。これらについては、基礎的な仮説の検証に過ぎないが、これらを縦断データによって検証を進めた暁には、下記のような検証にも到達しうる可能性がある。 住生活空間の省エネルギー化は、断熱気密性、遮音性等の向上に寄与し、居住者へ下記(1)~(5)の健康維持増進効果をもたらすと期待される。

  • (1) 高血圧や脳卒中を始めとする循環器系疾患の予防及び重症化防止
  • (2) 喘息等の呼吸器疾患の予防及び重症化防止
  • (3) 体調の維持増進や活動性の向上による欠勤の減少及び主観的健康観の向上
  • (4) うつ症状等の精神的な健康面の向上
  • (5) その他健康向上効果。

以上のように短期的・長期的の両側面の展望をもって、研究を実施していく。